日本財団パラリンピックサポートセンター

北海道のパラスポーツを盛り上げよう! 大学生パワーリフターが語るパラスポーツの魅力とは?

北海道のパラスポーツを盛り上げよう! 大学生パワーリフターが語るパラスポーツの魅力とは?
2021.10.06.WED 公開

東京2020パラリンピック閉幕からちょうど一ヵ月の10月5日、北海道庁主催の「北海道パラアスリート発掘プロジェクト パラスポーツセミナー」がオンラインで実施された。

北海道は、車いすラグビー池崎大輔自転車競技藤田征樹アルペンスキー狩野亮ら多くのパラリンピックメダリストを輩出している。だが、これまでオリンピック・パラリンピック競技の次世代選手発掘事業「J-STARプロジェクト」(※)が行われたことがない。

この11月、北海道で初めて同プロジェクトの基礎測定会が行われることになり、その周知を目的として本セミナーが計画された。

※J-STAR(ジャパン・ライジング・スター)プロジェクトは、未来のオリンピック・パラリンピック出場を目指すアスリートを発掘するプロジェクト。2017年度から始動し、今年で5年目。

第一部では、車いすバスケットボール日本代表キャプテンとしてシドニー2000パラリンピックに出場した根木慎志氏があすチャレ!メッセンジャーとして講演。現在、57歳の根木氏は、18歳のときに交通事故に遭い車いす生活に。1年半に及ぶ入院生活の後、地元の車いすバスケットボールチームに参加し、先輩たちのプレーを見て「この人たち、やべぇ!!!」と衝撃を受けたという。その後、世界最高峰のパラリンピックを目指そうと心に誓い、実に16年かけてパラリンピックへの切符を掴んだ。

「パラリンピックに行くぞ、という気持ちでチャレンジしたことで、多くの友だちができ、世界のいろんなところに行くこともできた。これからパラリンピックを目指そうという皆さんにはぜひその舞台に立ってほしいが、今振り返ると、パラリンピックを目指す過程が本当に楽しかった」(根木氏)

東京大会でもテレビ解説や選手村副村長として大忙しだったという根木氏は、「出会った人と友だちになる」をモットーに掲げ、全国の小・中学校、企業でパラスポーツの価値を伝え続けている。

根木氏は多くの写真を盛り込んだスライドを使ってパラリンピックの魅力を伝えた

第二部には、先述のJ-STARプロジェクトの第1期生で、パワーリフティングで3年後のパリパラリンピック出場を目指している森崎可林、バンクーバー2010パラリンピックのアイススレッジホッケー(アイスホッケー)銀メダリスト・馬島誠も出演。自身もパワーリフティングで東京パラリンピック出場を目指した戸田雄也(日本財団パラリンピックサポートセンタープロジェクトリーダー)進行のもと、自由に議論を交わした。

そんななか、これからパラスポーツを始めてみたいという若い世代に熱いメッセージを送ったのは馬島だ。

大学3年で車いす生活になった馬島は、当時を振り返り、「パラスポーツという言葉もなく、パラリンピックはリハビリのイメージだった。ケガをしてから5年ほどスポーツをせずに過ごしていた時期があり、今ではすごく後悔しているので、興味があるのに躊躇している人がいたらぜひ一歩踏み出してみて」と語りかけた。

バンクーバーパラリンピックで獲得した銀メダルを披露した馬島

根木や馬島の話をうなずきながら聞いていた森崎は現在、立命館大1年生。法曹の世界に興味があり、競技と学業の両立に励む。

「高校生のとき、学校のテストと遠征、加えて生徒会の執行部、進学に向けた勉強などが重なり、かなりハードだと感じることがあった。でも、海外遠征に行ったり、国内外のトップレベルのアスリートの方に会ったり、普通に学校に通っているだけでは絶対に得られない素晴らしい経験ができて。得られるものは何物にも代え難いですね」

森崎(左)は、東京パラリンピック開会式最終聖火ランナーに抜擢された photo by Getty Images Sport

そして、森崎はこの夏、東京パラリンピックの開会式で最終聖火ランナーという大役を務めた。

学業と競技のどちらにも全力投球する日々は今後も続くが、「J-STARがなければ、今の私はいない」と充実した表情を見せていた。

中2で水泳を始めた森崎は、中3のときJ-STARプロジェクトに応募しことがきっかけでパワーリフティングに転向した。本格的に競技活動を開始した当初、母親に同行してもらい強化合宿などに出向いていたが、高2になる頃には自宅のある滋賀から各地の練習場へ新幹線で単身移動するようになった。日本代表として海外遠征も経験した。「最初は一人で出ていていくのに不安があったが、競技団体の方に相談したら親身になって聞いてくれた。周りに頼りつつ、自分でできるペースでどんどん前に進むことができた」と充実した表情で語り、関係者から精神面での手厚いサポートがあったことをうかがわせた。さらにJ-STARプロジェクトの第1期生だったことで、「一定期間、移動などにかかる金銭面も100%サポートしてもらえてすごく心強かった」と明かした。

今年1月、第21回全日本パラ・パワーリフティング国際招待選手権大会に出場した森崎 photo by Haruo Wanibe

今回のセミナーは北海道庁のホームページやSNSで告知を行ったほか、道内の特別支援学校やパラスポーツ関係者らに参加を呼びかけた。

主催した北海道スポーツ局スポーツ振興課の三宮賢豊氏は「数年前から選手発掘事業を予定していたが、コロナ禍でなかなか実現できなかった。東京パラリンピックの熱が冷めないうちに、できるだけ早くセミナーを開催して次の展開につなげたいと考えた」と語る。

主催者の思いは、未来のアスリートはもちろんのこと、これからパラスポーツを応援したいという人たちにも届いたに違いない。

↓J-STARプロジェクトについてはこちらから(外部サイト)
北海道以外でも測定会等を開催予定。
https://www.j-star.info/

text by Asuka Senaga

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『北海道のパラスポーツを盛り上げよう! 大学生パワーリフターが語るパラスポーツの魅力とは?』