【東京2020パラリンピック】言葉以上のメッセージを残した海外のスターたち

【東京2020パラリンピック】言葉以上のメッセージを残した海外のスターたち
2021.09.11.SAT 公開

さまざまな名場面を生んだ東京パラリンピック。ここでは海外の選手たちに注目し、彼らが残した言葉以上のメッセージやその雄姿を紹介したい。

【パワーリフティング】
マンスール・プルミルザエイ(イラン)

男子107kg超級・銀メダル授与の瞬間、プルミルザエイはおもむろに上着のジッパーを下し、Tシャツに描かれた亡き最強パラパワーリフター、シアマンド・ラーマンの顔に手を当てた。親交の深かったラーマンへの思いが涙となった。

男子107kg超級で銀メダルのマンスール・プルミルザエイ
photo by Takashi Okui

【卓球】
ナタリア・パルティカ(ポーランド)

北京大会で初めてオリンピックとパラリンピックの両方に出場、東京大会でも両大会に出場した。オリンピアンとパラリンピアンをつなぐ、懸け橋的な存在だ。「パラリンピックは緊張するし、プレッシャーもある」。シングルスで5連覇はならなかったが、銅メダルを獲得。団体では金メダルを獲得した。

団体戦で優勝し笑顔で会場を後にしたナタリア・パルティカ photo by Getty Images Sport

【陸上競技】
ジョニー・ピーコック(イギリス)

100m(T64/義足)決勝。ゴール後、約3分間の長い判定が行われた末、ピーコックとヨハネス・フロールス(ドイツ)の2人が銅メダルとなった。「ヨハネスのようないい奴とメダルを分かち合うことができるなんて本当にいい話だ!」と喜びを語った。

イギリスのスター選手ジョニー・ピーコック(右) は100mで銅メダルを獲得 photo by Getty Images Sport

【車いすフェンシング】
ベアトリーチェ・ヴィオ(イタリア)

“ベベ”の愛称で知られるヴィオは、個人(フルーレ)で金メダル、団体で銀メダルに輝いた。「大会まで本当に長かった。家に帰って、やっと休暇を取れる。もう待ちきれない!」と肩の荷を下ろした。

イタリアの剣士、ベアトリーチェ・ヴィオ
photo by Takashi Okui

【車いすラグビー】
チャック・アオキ(アメリカ)

リオ大会では1点差に泣き、銀メダルとなったアメリカ。エースのアオキは、大会初日に「忘れ物を取りに来た」と話し、雪辱に燃えたが、今大会は決勝でイギリスに敗れ、再び銀メダルとなり、コートの上で目を赤くした。

アメリカのエースで日系人のチャック・アオキ photo by AP/AFLO SPORT

【アーチェリー】
ザーラ・ネマティ(イラン)

イラン人女性として初の金メダリストは、ロンドン大会・リオ大会に続いて自身3個目の金メダルを獲得し「ほかのメダルと違って、とても愛おしい」。自国の女性に対しては、「努力することを諦めないで、夢を諦めないで。夢に向かって常に挑戦して」と伝えているという。

女子リカーブ個人で大会3連覇を達成したザーラ・ネマティ photo by Jun Tsukida

【陸上競技】
マルセル・フグ(スイス)

大会最終日、マラソンで連覇を狙うフグは、スタートから7~8㎞辺りで片側のハンドリム(車いすレーサーを操作する部分)のゴムがはがれるアクシデントに見舞われた。簡単なレースではなかったが、驚異のスタミナでライバルを突き放して勝利。今大会4冠の偉業を達成した。

最終日のマラソンで金メダルを獲得したマルセル・フグ photo by Jun Tsukida

【シッティングバレーボール】
ローラ・ウェブスター(アメリカ)

女子の決勝カードはアメリカ対中国。予選の同カードで敗れたアメリカが中国に雪辱し、堂々の金メダル。アメリカチームのウェブスターは実は妊娠中で「試合中、お腹の赤ちゃんが動くたびに我に返っていた」と話した。彼女はロンドン大会時も妊婦だったというから驚き……。

【陸上競技】
マルクス・レーム(ドイツ)

自身の持つT64(義足)の世界記録更新、そして東京オリンピックの金メダリストを超えるか、その記録が注目されたレーム。パラリンピックをもっと多くの人に知ってもらいたいという強い思いから、引き続き「オリンピックを目指す」と宣言。

高いパフォーマンスでパラリンピアンの可能性を示し続けるマルクス・レーム photo by Takashi Okui

【陸上競技】
レオペッカ・タハティ(フィンランド)

花形100mで5連覇を逃し、銀メダルに終わったタハティ。「一番明るいメダルじゃなくてもとても誇りに思う。17年間頂点にいられたことは素晴らしい経験だった。今日は新しいスターの誕生の日」と18歳の新チャンピオンに敬意を表した。

4連覇中だったタハティ(中央)が敗れ、一時代が幕を閉じた photo by Takashi Okui

【馬術】リー・ピアソン
(イギリス)

パラリンピアンとして初めて同性愛者であることを公表したチャンピオンは、今大会通算14個目の金メダルを手にした。「パラリンピックはACCEPTANCE(受け入れる)精神そのものである。障がいと同じくセクシャリティも受け入れられる社会が広がってほしい」とメッセージを残した。

正確かつ美しい演技で魅了したリー・ピアソン photo by Jun Tsukida

【水泳】ダニエル・ディアス
(ブラジル)

パラリンピックの通算獲得メダル数は27個! 東京大会で3つの銅メダルを獲得し、現役生活を終えた“ブラジルの英雄”ディアス。「大会が1年延期になったことはとてもつらかったが、国を代表して競技に参加できたことはすごくうれしい」とコメントした。

パラ水泳界のスーパースター、ダニエル・ディアス photo by Getty Images Sport

世界のスーパースターたちが残した心に残るシーン。これらもまた東京大会のレガシーになるはずだ。

text by TEAM A
key visual by Takashi Okui

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