これだけは知っておきたい「パラリンピック」ビギナーズガイド

これだけは知っておきたい「パラリンピック」ビギナーズガイド
2021.09.30.THU 公開

2021年8月24日~9月5日まで東京2020パラリンピックが開催された。熱戦や開会式、閉会式をテレビやインターネット配信で見て楽しんだ人は多いのでは?
東京大会をきっかけに改めて「パラリンピックとは?」と考えたあなたにお届けするパラリンピック情報まとめページ。

東京2020パラリンピック特設サイトはこちら:https://www.parasapo.tokyo/paralympic/2020about
北京2022冬季パラリンピック特設サイトはこちら:https://www.parasapo.tokyo/paralympic/beijing2022

直近の夏季パラリンピック~東京・リオ・ロンドン~

東京2020パラリンピック
新型コロナウイルス感染症拡大の影響を受け1年延期、2021年8月から9月にかけて開催され、163団体(162のNPCと難民選手団)4,403名のアスリートが参加。参加人数は過去最高となり、22競技539種目で熱戦が繰り広げられた。

国立競技場のリボンビジョンには、大会に参加する全てのアスリート名が表示された。これはオリンピック・パラリンピックを通じて史上初の試み ©Takashi Okui
開会式のテーマは「WE HAVE WINGS」 ©Jun Tsukida
パラ・エアポートを舞台に物語が繰り広げられた ©Jun Tsukida
東京パラリンピックの聖火リレーは「新しい出会いが共生社会につながる気付きになる」との願いが込められ3人1組で行われた ©Jun Tsukida

日本のメダルランキングは11位、計51個(金・13、銀・15、銅・23)のメダルを獲得。アテネ2004パラリンピックの52個に続く記録となった。

閉会式では初めて、大会ボランティアだけでなく、都市ボランティアも表彰された ©Takashi Okui
東京2020パラリンピックは、2024年パリ大会へバトンを渡し、9月5日に閉会した ©Takashi Okui

東京パラリンピックの情報はこちらから

リオ2016パラリンピック
22競技528種目のうち、世界新記録220、パラリンピック新記録は432にのぼり、競技レベルも高まってきた。

リオ2016パラリンピック閉会式での「フラッグ・ハンドオーバーセレモニー」。東京都の小池知事にパラリンピック旗が手渡された ©Getty Images Sport

ロンドン2012パラリンピック
164カ国、4,237人の選手が参加し、観戦チケット販売枚数は約278万枚。多くの競技会場で観客席が満員になり、史上最多の観客動員数を記録した。

ロンドン2012パラリンピック男子100m(T44)決勝で金メダルを獲得したジョニー・ピーコック(右) ©Getty Images Sports
2012年9月12日に行われたロンドン大会のビクトリーパレードの様子 ©Getty Images Sports

パラリンピックは世界最高峰の障がい者スポーツ大会であり、トップアスリートが高いパフォーマンスを競う世界的なイベントである。オリンピックと同じく夏季大会、冬季大会がそれぞれ4年に一度、オリンピックの終了後に同じ場所で開催される。今や、オリンピック、サッカーワールドカップに次ぐ、世界で3番目に大きなスポーツイベントになった。

2022年3月には北京2022パラリンピック冬季競技大会が開催される。
※下記画像をクリックすると北京2022特集ページが別ウィンドウで開きます

パラリンピックの4つの価値

国際パラリンピック委員会(IPC)は、パラリンピックに出場するアスリートたちが持つ力こそが パラリンピックを象徴するものであるとし、以下の4つの価値を掲げている。

※IPC発表の英語表記は「Equality」でありその一般的な和訳は「平等」だが、「平等」な状況を生むには、多様な価値感や個性に即した「公平」な機会の担保が不可欠だ。そしてそのことを気づかせてくれるのがパラリンピックやパラアスリートの力である、という点を強調するため、IPC承認の下、あえて「公平」としている。

パラリンピックの意義(*)

様々な障がいのあるアスリートたちが創意工夫を凝らして限界に挑むパラリンピックは、多様性を認め、誰もが個性や能力を発揮し活躍できる公正な機会が与えられている場である。それは、共生社会を具現化するための重要なヒントが詰まっている大会であり、社会の中にあるバリアを減らしていくことの必要性や、発想の転換が必要であることにも気づかせてくれる。

パラリンピックムーブメントとは(*)

パラリンピックスポーツを通して発信される価値やその意義を通して世の中の人に気づきを与え、より良い社会を作るための社会変革を起こそうとするあらゆる活動のこと。パラリンピックムーブメントの推進は、パラリンピアンや大会の関係者だけでなく、社会変革を起こそうとする人、団体すべてが担っている。

パラリンピックのはじまり(*)

パラリンピックの原点は、第二次世界大戦(1939~1945年)後にさかのぼる。戦争で負傷した兵士の治療と社会復帰を目的としたイギリス・ロンドン郊外のストーク・マンデビル病院の医師ルードヴィッヒ・グットマン卿により、1948年ロンドンオリンピックにあわせて、院内で16名の車いす患者によるアーチェリー大会を開催したことがはじまりとされている。

1964年に東京で開催された第2回パラリンピック大会世界から約370選手が集まった 写真提供:JPC

1960年ローマオリンピックの同年に、ローマで行われた大会(第9回ストーク・マンデビル大会)を、後に第1回パラリンピックと位置づけ、1964年東京大会(第13回国際ストーク・マンデビル競技大会)が第2回パラリンピックとなった。
そして、2021年、東京で再びパラリンピックが開催された。同一都市で夏季大会2回目の開催は、世界初のケースだ。

パラリンピックの名称の由来(*)

「パラリンピック(Paralympic Games)」が正式名称になったのは、1988年のソウル大会から。現在はギリシャ語のパラ=Para(沿う、平行)+Olympic(オリンピック)とし、もう一つのオリンピックとして解釈されている。

当初、「パラリンピック」は「オリンピック開催年にオリンピック開催国で行われる国際ストーク・マンデビル大会」=「Paraplegia(対まひ者)」の「Olympic」=「Paralympic」という発想から、東京大会の際に日本で名付けられた愛称であったが、1985年、IOCは国際調整委員会(ICC)がオリンピック年に開催する国際身体障がい者スポーツ大会を「Paralympics(パラリンピックス)」と名乗ることに同意。 従来のパラリンピックという言葉は、対まひ者のオリンピックという意味であったことから、身体障がい者の国際大会になじまなかったため、現在の解釈へと変わった。

パラリンピックのシンボルに込めれた意味(*)

パラリンピックのシンボルマーク「スリーアギトス」©Getty Images Sport

赤・青・緑の3色で表現されたこのシンボルマークを「スリーアギトス」と呼ぶ。 「アギト」とは、ラテン語で「私は動く」という意味で、困難なことがあってもあきらめずに、限界に挑戦し続けるパラリンピアンを表現している。 この三色は、世界の国旗で最も多く使用されている色ということで選ばれた。

パラリンピックの開催地(*)

夏季競技大会
開催年 開催都市 開催国 正式名称 参加国数 参加選手人数 実施競技
第1回 1960年 ローマ イタリア 第9回国際ストーク・マンデビル競技大会 23か国 400名 8競技
第2回 1964年 東京 日本 第13回国際ストーク・マンデビル競技大会 21か国 378名 9競技
第3回 1968年 テルアビブ イスラエル 第17回国際ストーク・マンデビル競技大会 29か国 750名 10競技
第4回 1972年 ハイデルベルク 西ドイツ 第21回国際ストーク・マンデビル競技大会 43か国 984名 10競技
第5回 1976年 トロント カナダ TORONTO OLYMPIAD 40か国 1,657名 13競技
第6回 1980年 アーネム オランダ OLYMPICS FOR THE DISABLED HOLLAND '80 42か国 1,973名 13競技
第7回 1984年 ニューヨーク アメリカ 第7回国際身体障害者スポーツ大会 54か国 2,102名 18競技
ストークマンデビル イギリス
第8回 1988年 ソウル 韓国 SEOUL PARALYMPICS 61か国 3,057名 17競技
第9回 1992年 バルセロナ スペイン バルセロナ1992パラリンピック競技大会 83か国 3,001名 16競技
第10回 1996年 アトランタ アメリカ アトランタ 1996 パラリンピック競技大会 104か国 3,259名 17競技
第11回 2000年 シドニー オーストラリア シドニー2000パラリンピック競技大会 122か国 3,881名 18競技
第12回 2004年 アテネ ギリシャ アテネ2004パラリンピック競技大会 135か国 3,808名 19競技
第13回 2008年 北京 中国 北京2008パラリンピック競技大会 146か国 3,951名 20競技
第14回 2012年 ロンドン イギリス ロンドン2012パラリンピック競技大会 164か国 4,237名 20競技
第15回 2016年 リオデジャネイロ ブラジル リオ2016パラリンピック競技大会 159か国 4,333名 22競技
第16回 2021年 東京 日本 東京2020パラリンピック競技大会 163団体 4,303名 22競技
第17回 2024年 パリ フランス パリ2024パラリンピック競技大会 未定 未定 未定
第18回 2028年 ロサンゼルス アメリカ ロサンゼルス2028パラリンピック競技大会 未定 未定 未定
冬季競技大会
開催年 開催都市 開催国 正式名称 参加国数 参加選手人数 実施競技
第1回 1976年 エンシェルツヴィーク スウェーデン 第1回国際身体障害者冬季競技大会 16か国 53名 2競技
第2回 1980年 ヤイロ ノルウェー 第2回国際身体障害者冬季競技大会 18か国 299名 3競技
第3回 1984年 インスブルック オーストリア 第3回国際身体障害者冬季競技大会 21か国 419名 3競技
第4回 1988年 インスブルック オーストリア 第4回国際身体障害者冬季競技大会 22か国 377名 4競技
第5回 1992年 アルベールビル フランス アルベールビル1992パラリンピック冬季競技大会 24か国 365名 3競技
第6回 1994年 リレハンメル ノルウェー  リレハンメル 1994 パラリンピック冬季競技大会 31か国 471名 5競技
第7回 1998年 長野県 日本 長野1998パラリンピック冬季競技大会 31か国 571名 5競技
第8回 2002年 ソルトレークシティ アメリカ ソルトレーク2002パラリンピック冬季競技大会 36か国 416名 4競技
第9回 2006年 トリノ イタリア トリノ 2006 パラリンピック冬季競技大会 38か国 474名 5競技
第10回 2010年 バンクーバー カナダ バンクーバー2010パラリンピック冬季競技大会 44か国 502名 5競技
第11回 2014年 ソチ ロシア ソチ 2014 パラリンピック冬季競技大会 45カ国 547名 5競技
第12回 2018年 平昌 韓国 平昌2018パラリンピック冬季競技大会 49か国 567名 6競技
第13回 2022年 北京 中国 北京2022パラリンピック冬季競技大会 未定 未定 6競技
第14回 2026年 ミラノ イタリア ミラノ コルティナ2026パラリンピック冬季競技大会 未定 未定 未定
コルティナダンペッツォ

日本のメダル獲得数(*)

 
夏季競技大会
開催年 開催都市 開催国 日本人選手数 日本の成績
メダル
順位
第1回 1960年 ローマ イタリア 日本不参加
第2回 1964年 東京 日本 53名 1個 5個 4個 10個 13位
第3回 1968年 テルアビブ イスラエル 37名 2個 2個 8個 12個 16位
第4回 1972年 ハイデルベルク 西ドイツ 25名 4個 5個 3個 12個 15位
第5回 1976年 トロント カナダ 37名 10個 6個 3個 19個 14位
第6回 1980年 アーネム オランダ 37名 9個 10個 7個 26個 16位
第7回 1984年 ニューヨーク アメリカ 17名 9個 7個 8個 24個 22位
ストークマンデビル イギリス35名
第8回 1988年 ソウル 韓国 141名 17個 12個 17個 46個 14位
第9回 1992年 バルセロナ スペイン 75名 8個 7個 15個 30個 16位
第10回 1996年 アトランタ アメリカ 81名 14個 10個 13個 37個 10位
第11回 2000年 シドニー オーストラリア 151名 13個 17個 11個 41個 12位
第12回 2004年 アテネ ギリシャ 163名 17個 15個 20個 52個 10位
第13回 2008年 北京 中国 162名 5個 14個 8個 27個 17位
第14回 2012年 ロンドン イギリス 134名 5個 5個 6個 16個 24位
第15回 2016年 リオデジャネイロ ブラジル 132名 0個 10個 14個 24個 64位
第16回 2021年 東京 日本 254名 13個 15個 23個 51個 11位
冬季競技大会
開催年 開催都市 開催国 日本人選手数 日本の成績
メダル
順位
第1回 1976年 エンシェルツヴィーク スウェーデン 日本不参加 日本不参加(深沢定美(長野県・男性)さんが個人参加)
第2回 1980年 ヤイロ ノルウェー 5名 0個 0個 0個 0個
第3回 1984年 インスブルック オーストリア 12名 0個 0個 0個 0個
第4回 1988年 インスブルック オーストリア 14名 0個 0個 2個 2個 14位
第5回 1992年 アルベールビル フランス 15名 0個 0個 2個 2個 19位
第6回 1994年 リレハンメル ノルウェー  27名 0個 3個 3個 6個 18位
第7回 1998年 長野県 日本 70名 12個 16個 13個 41個 4位
第8回 2002年 ソルトレークシティ アメリカ 36名 0個 0個 3個 3個 22位
第9回 2006年 トリノ イタリア 40名 2個 5個 2個 9個 8位
第10回 2010年 バンクーバー カナダ 41名 3個 3個 5個 11個 8位
第11回 2014年 ソチ ロシア 20名 3個 1個 2個 6個 7位
第12回 2018年 平昌 韓国 38名 3個 4個 3個 10個 9位

(*)出典:国際パラリンピック委員会(IPC)、日本パラリンピック委員会(JPC)、東京2020組織委員会

text by parasapo
key visual by Takashi Okui

これだけは知っておきたい「パラリンピック」ビギナーズガイド

『これだけは知っておきたい「パラリンピック」ビギナーズガイド』