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ポスト2020を担うスターを探せ!「東京都パラスポーツ次世代選手発掘プログラム」

ポスト2020を担うスターを探せ!「東京都パラスポーツ次世代選手発掘プログラム」
2020.01.08.WED 公開

パラリンピックイヤーを目前に控えた2019年12月に東京・文京区総合体育館で開催された「東京都パラスポーツ次世代選手発掘プログラム」。東京2020パラリンピック後、活躍する“金の卵”発掘を目的にした東京都による事業は、18競技が参加し、東京都在住や通勤・通学する60人が参加した。

パラリンピック出場の夢を応援する

「夢はパラリンピックに出ることだよ。だからここに来たんじゃん!」

10歳の島﨑瑛漣(あれん)くんに将来の夢を尋ねると、そんな明るい言葉が返ってきた。脳性まひで体幹に機能障がいがある島﨑くんは、小さい頃から体を動かすのが大好き。普段、使っている車いすには、あこがれの車いすラグビー・池崎大輔をはじめ、多くのパラアスリートのサインが書き込んである。

これまでも自分にどんなスポーツができるのか、向いているのか、そして何より夢中になれるスポーツを探すため、様々なパラスポーツのイベントに参加してきた。今回、プログラムに参加したのも、同じ思いがある。

車いすバスケットボールを体験し、笑顔を見せる島﨑くん

午前の部から参加した島﨑くんが、この日、体験を申し込んだのは、車いすバスケットボール、車いすフェンシング、車いすラグビーの3競技。車いすバスケットボールでは、準備運動のあと、インストラクターに車いす操作やドリブルを教えてもらい、「頭でいろいろ考えてシュートするのが楽しかった」と笑った。

東京パラ以降を見据え、数多くの10代が参加

「東京都パラスポーツ次世代選手発掘プログラム」は、スポーツに興味のある10歳から45歳までの障がい者を集め、東京パラリンピック後、アスリートとして活躍できる選手を見つけるための東京都の事業だ。2015年から開催してきた前身の「東京都パラリンピック選手発掘プログラム」は、累計1100人を超える参加者を得て、20名の強化指定選手を生んだ。

東京都のオリンピック・パラリンピック準備局の大島氏

東京パラリンピックを控えたいま、東京都は前身のプログラムの役割は終わったと捉え、東京都のオリンピック・パラリンピック準備局の大島由晋氏は「今度は東京パラリンピック以降を見据えた競技者発掘を目指しています」と説明する。

今回、参加者60人のうち、10代が50人を占め、「事業内容の趣旨からして、以前よりも若い世代が増えたのはうれしいこと」と続けた。

また、障がい者は、自分はスポーツに縁がないという心のハードルを持ちやすい。しかし、どんな人でも自分に合ったスポーツに出会える可能性はあると、参加者に情報を与えるのも、このプログラムの目的だ。

空門さんはこの日、多くの競技に触れ可能性を広げた

先天的な疾患の手術をしたことにより脊髄を損傷し、電動車いすを使用する空門理紗さん(35)もそんな一人。「パラリンピックなどは、もともとスポーツをやっていて中途障がいの人がやるものだと思っていました。でも、ひ弱な私でも、できるスポーツがあるんだと分かりました。すごい希望が見えてきました!」と目を輝かせていた。

今回、射撃、アイスホッケー、車いすカーリングを体験し、仮設の射撃場で10点満点を連発、車いすカーリングでは、好コースを何度も突き、自らの可能性を広げた空門さん。射撃の体験では、どこで練習できるのかなど具体的に教えてもらい、本格的に始めるか、検討してみるという。

頑張れるものを見つけたくてプログラムに参加した笹口結凛さんはまだ10歳と若い

相談コーナーで競技を始めるための情報を提供

会場には、仮設の体験コーナーほか、相談コーナーも設けられた。

「水泳で本格的に息子を指導してくれるところはないか、相談したくて来ました」と話したのは、末崎佑晟くん(17)の母、陽子さんだ。

プールには多くの10代の参加者が訪れた

地域の知的障がいがある人のための陸上競技大会の100mで優勝を重ね、「運動が得意」と胸を張った末崎くんは、水泳でも好成績を残している。本人はスペシャルオリンピックス出場を目指し、これから本格的に水泳を、と思っているが、陽子さんには、「知的障がいの子を指導をしてくれる一般のスイミングスクールがないんです」という悩みがある。会場に着くと、さっそく相談員のもとに向かい、悩みを打ち明けていた。

運動が大好きな末崎くんは水泳にチャレンジ

左半身にまひがある田畑和朗さん(39)もまた、相談コーナーに足を運んだ。障がいの特性にあった競技はないか相談をし、利き手がどちらかを確認されたうえで、ラケット競技を候補の一つにしてみたらどうか、提案を受けたという。

バドミントンを体験する田畑さん

1年前、左腕に神経損傷を負った吉冨稔夫さん(41)は、自転車、射撃、陸上競技を体験したが、サッカーをやっていた経験から、足技に自信があり、相談コーナーでは、「テコンドーを始めるのは、どうしたらいいか、相談してみるつもりなんです」と話していた。

射撃体験コーナーに訪れた吉冨さん

相談員の杉山真理氏によれば、窓口に訪れる人たちの相談でもっとも多いのは、「自分の障がいだと、どんなスポーツが向いているのか、そのスポーツはどこでできるのか」という基本的な質問だという。さらに「クラス分けした際、自分の障がいがどのカテゴリーに当てはまるのか、という相談も多い」と話す。

「以前に比べれば、障がい者スポーツの情報は増えていますが、自分にあてはめた場合、本当にそのスポーツができるのか、ネットの情報だけでは、こと足りないことが多いのです」と相談コーナーを設けた意義を説明した。

パラリンピアンによるトークショーも開催

プログラムでは、アスリートトークショーも開催され、平昌2018冬季パラリンピックのアイスホッケー日本代表・堀江航選手と、陸上競技の走り高跳びや自転車のメダリスト、葭原滋男選手が登壇した。

視覚障がいのマルチアスリート葭原選手(左)と片足ひざ下切断の堀江選手(右)

葭原選手は2000年シドニーパラリンピックの自転車競技で金メダルを獲ったとき、大泣きしたと明かし、堀江選手はスポーツによって自分の世界を広げた経験を話し、「ここにいる皆さんもスポーツすることを楽しんで」と呼びかけていた。

なお、プログラムを次年度も開催するかは未定。だが、前出の大島氏は「東京パラリンピックは通過点。今後もパラスポーツを盛り上げていくためにこの事業は継続していきたい」と前向きに語った。

アイスホッケーや車いすカーリングなど冬季競技も体験できた

【東京都パラスポーツ次世代選手発掘プログラム(2019.12.14)実施競技】
アーチェリー陸上競技バドミントンカヌー自転車競技柔道パワーリフティング射撃水泳卓球トライアスロン車いすバスケットボール車いすフェンシング車いすラグビー車いすテニスパラアイスホッケースキー車いすカーリング(計18競技)

※プログラムの詳細は「東京都パラスポーツ次世代選手発掘プログラム」ホームページ(外部サイト)まで
https://www.para-athlete.tokyo/index.html

text by Yoshimi Suzuki
photo by Hideto Ide

ポスト2020を担うスターを探せ!「東京都パラスポーツ次世代選手発掘プログラム」

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